主食日本酒 -TSB汐留酒学会 代表 齊藤俊洋のブログ-

日本酒、ロボット(ガンダム)、学び、など!日本酒中心に、趣味と時々学びを詰め込んだブログです!

酒蔵見学レポート(第1回):小嶋総本店(山形米沢市) 20200701

コロナも収束の兆しが見えて県跨ぎもOKになったので、毎月酒蔵見学を試みたい齊藤。折角だから、行くたびに旅行記を記していこうかなと思い立ちまして筆?を取りました(∩´∀`)∩
 
栄えある第1回目は!ボクの地元でもある山形県は、米沢市にある
【小嶋総本店 (代表銘柄:東光)
さんにお伺いしてきました

山形県米沢市(アクセス)

ボクは山形市出身なのですが、米沢市はいとこの家があり、よく遊びに行った地です。

米沢は東京からは新幹線で1本。小嶋総本店さんはそこから歩いても30分という、全国の酒蔵さんの中でもアクセスの良い蔵元さんかもしれません。

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新幹線は【山形新幹線 つばさ】福島~山形は在来線線路を走る、通称【ミニ新幹線】なので、途中豊かな田園や森林・山間風景を楽しめます。

山形県米沢市(地形)

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米沢市は、山形県の中でも最も南に位置する県です。

日本を縦断して日本海に注ぐ最上川の源流があり、米沢市内は扇状地となっています。

扇状地の土壌は地下水が多く、古来から日本各国で扇状地には城やおおきな町が築かれてきたそうです。

その最上川源流に一番近い蔵が、小嶋総本店さん。お米もほとんどが地元の契約農家産との事で、まさに【山形の酒】を代表する蔵の1つと言えますね。

山形県米沢市(偉人)

米沢市は沢山の偉人を輩出しておりますので、まとめてみました!!

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はい!わかりやすいですね!

どれが冗談でどれが本当かわからない方は各自お調べください!(テキトー…)

小嶋総本店

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創業はなんと安土桃山時代 慶長二年 (西暦1597年)…えっ、いつ!?

ってなるくらい昔ながらの蔵で、現在確認されている中では日本で11番目に古い酒蔵さんだそうです。

ソースは下記

日本最古の酒蔵ベスト5! ほか歴史の古い酒蔵は? [日本酒] All About

米沢城に献上していたとの事で、代表銘柄東光】も、米沢城から見て、東=日が昇る方向、にあるから、との事。

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ほんとだ(*´▽`*)!!
聖徳太子はそれで隋に怒られちゃったけど、将軍様側から名前つけられたんだから、堂々として良いよね!!

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怒られた事を思い出す聖徳太子さん

社長の紹介

そんな由緒正しき酒蔵をご案内くださったのがこの方!

24代目の蔵元となる 小嶋 健市郎 さん

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イケメーン!!慶応卒のスマート社長です( *´艸`)

とても気さくで、得体の知れない齊藤にも、優しく接してくださいました

紹介(工程毎)

お待たせしました!蔵の紹介を工程毎紹介していきます(^O^)/

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こうやって書いてあるのがなんとなく嬉しい

⓪材料について

日本酒は主に【米、水、菌】で出来ています。お米は主に

1、山形の酒造好適米(日本酒造りに適したお米):全量契約農家産

  出羽燦々、雪女神、出羽の里 等

2、山形の飯米、多用途米

  はえぬき、出羽きらり 等

3、他県の酒造好適米

  山田錦、雄町 等

を使用しているそうです

水は地下50mと100mの2カ所から地下水を汲み上げて、

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蔵最高部のタンクに貯蔵、そこから各所に降ろす方式だそうです。

「昔のマンションみたいですね!」

と言ったら、いまいち伝わりませんでしたorz

水の硬度は40~50、下記ミネラルウォーターとの比較です。

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…といっても、他の蔵がわからないと比較しようがないですよね(笑)

今後増やしていきます、お楽しみに٩( ''ω'' )و

①精米

前述の通り、ほとんどのお米を契約農家で栽培しているとの事。

その精米も、自社で行われているそうです。写真は昔使っていた精米機。

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②洗米・浸漬

精米したお米は、水で洗います。イメージは、みなさんが米を炊く研ぐ感じです。しかし酒蔵さんではその作業を

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こんなゴツイ機械でやってます、なんか、金属のドラム状の部分が拳銃のリボルバーみたいになっていてカッチョイイ笑

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同時に5つ分の洗米と浸漬(米に水分を吸収させる)を、プログラミングにより自動で行える高級機!

ボクも何蔵かお邪魔していますが…こんなん初めて見ました…Σ(・ω・ノ)ノ!

③蒸米

さきほどの高級機から、米はコンベアで運ばれて…

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米を蒸す【甑(こしき)】に運ばれます。

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手前、ペンキなどが見えますが、これは、現在夏で酒づくりを行っていない期間の為!造りの時期(主に11月~3月)はとても忙しいので、この期間に機材の修復や塗装等のメンテナンスを行い、酒造りに備えます。

ペンキ塗りなども、自分達で行うんですってΣ(・ω・ノ)ノ!

④麹

蒸されたお米に菌を投入し、

【お米のでんぷん→糖分】

に変化させる工程です。この工程では働かせたい菌だけを働かせるために【麹室】という特別な部屋で作業します。

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なんと、中に入れて頂きました!…なかなか稀です(*ノωノ)

木の香りと、消毒に使ったオゾンの残り香がします。

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下に見えるステンレスの部分がヒーター。このヒーターで温められ、作業中は室温が40℃に達します。これも、働かせたい菌だけを働かせるためです。

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↑こいつが働かせたい菌、二ホンコウジカビ

Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼー)

酒母

この麹に酵母を加え、

【糖分→アルコール】

にしていきます!

※正確には【並行複発酵】と言って、【でんぷん→糖分】【糖分→アルコール】は同時に進みます。

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これが酒母タンク、400ℓくらいの小さなタンクです。

⑥醪(もろみ)

この酒母から醪(もろみ)を作ります。小嶋社長からは

1、人間に都合がよい変化が「発酵」、都合が悪い変化が「腐敗」

2.都合の良い菌が全体を支配するように酒母を作る

3、その支配が破られないように【蒸米、水、酒母】を適量足していき、全体の量を増やす

という説明があり、

「わー、すげーわかりやすいー、パクろー!!」

と心の中で思った齊藤でした笑

この【全体】というのが【醪】と呼ばれます。

3回に分けて足すので、【三段仕込み】というわけですね!

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この手前、銀色の蓋が見えているタンクで作ります。下には、巨大なタンクが隠れてるんですよ!!

 ⑦上槽(しぼり)

先ほど作った醪(もろみ)から日本酒を搾って取り出す工程を【上槽(しぼり)】と呼びます。昔は、下記の【槽(ふね)】という道具で搾っていました。

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船のようだから槽(ふね)。ここに醪(もろみ)を入れて、伸びている棒を滑車で動かすと搾られる仕組みです。現在はこちら

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Yabutaで搾ります!…だいたいどこの酒蔵さんに行っても、このYabutaは必ずありますね。商品名が名称になりました!ってやつです。

タミヤ 楽しい工作シリーズ No.108 タンク工作基本セット 70108

キャタピラは会社名でクローラーが名称なんですよ(笑) 

 ⑧火入れ1

日本酒を瓶詰し【火入れ】と呼ばれる熱殺菌を行います。

・味が意図しない変化をしないように

・保管しやすいように

さっきまでアルコールを作ってくれていた菌達には「お役御免!!」していただきます。なんだか寂しいですが…

彼らは犠牲になったのだ…美味しさが続く日本酒…その犠牲にな…

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 ⑨貯蔵

出来上がった日本酒は、タンクで貯蔵されます。

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1タンク1タンク各々温度管理ができるサーマルタンク。高級品です。

  ⑩瓶詰・火入れ2

貯蔵され、意図した美味しさになった日本酒は、瓶詰され、二度目の火入れが行われます。この二度目の火入れを行う機械がこれ

 

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パストライザー!!

強そうな名前!!これに並べた瓶を入れて、火入れを行います。ちなみにこれは

MG 1/100 ダブルオーライザー (機動戦士ガンダム00)

ダブルオーライザー!!

⑪出荷

こうして丁寧に作られたお酒は、各地に出荷されていきます。

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中には中国や韓国行きと書かれた箱もありました。日本の材料で、日本人によって造られた、All日本製の商品が海外でも喜ばれるのは嬉しいですね(*´ω`*)

まとめ

普段は一般公開されていない蔵内ですが【品質の維持を最優先】という理由との事。手入れが行き届いた蔵を拝見し、とても納得しました!

近くの資料館では昔ながらの造りを学び体感する事ができます。元々は実際酒造りを行っていた施設で、SK-ⅡのCMロケ地にもなっています。

コロナ禍でなければ試飲もできますので、是非立ち寄ってみてください⊂⌒~⊃。Д。)⊃

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上記は資料館の入口。日本酒の造り、各地から集めた年代物の酒器、上杉鷹山公関係の展示もあります!

小嶋社長はじめご案内してくださった社員の皆様、本当にありがとうございました(∩´∀`)∩

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情報

株式会社小嶋総本店

www.sake-toko.co.jp

・住所  :〒992-0031 山形県米沢市大町二丁目3-22

・アクセス:米沢駅から徒歩30分、車で約6分

・TEL :0238-21-6601

・営業時間:9:00~16:30 (最終入場30分前)

 ※コロナ禍のため、事前の確認をオススメします。

・定休日 :12月31日・1月1日

・入館料 :大人350円 詳細はHPご確認ください。